香港では白い花は縁起が悪い?白は道教のお葬式の色?
娘達が白い花のついたカチューシャをして
香港人の親戚の集まりに行きました。(私の主人は香港人。)
日本のおばあちゃんから送ってもらった
きれいなレースの白いバラの花がついたカチューシャでした。
そのうちレストランにだんだん親戚が集まって来ました。
その中で最高齢の96歳のおばあちゃんがこっちに来たので
ご挨拶、ご挨拶と娘達にうながしていたら・・・
おばあちゃん、私の腕をパンパン叩きながらこう言ったのです。
「ヘアバンドをすぐ外しなさい!ダメだよー!」
えっ、なんで?こんなに可愛いのに・・・
あーー!!ヤバイ!
思わず息をめいいっぱい飲んでしまった私。
ものすごく大事なことを忘れていた!
そう、可愛さ余ってすっかり忘れていたけど
白い花はお葬式のときに飾る花だった!
縁起が悪かったんだ!
すぐに娘達の頭からカチューシャをぶんだくって
誰にも見えないようにバッグの底に押し込んだ・・・
香港では道教が盛んなのですが
道教のお葬式では白い花を飾り、白い喪服を来るんです。
頭からつま先まで全身白を着て
頭には白い三角の頭巾をかぶります。
または頭巾の代わりに白いはち巻きを頭に結びます。
香典も真っ白の封筒に入れます。
ちなみに利是(ライシ)と呼ばれるお年玉の袋は赤です。
間違ってもお正月に白い封筒でお年玉をあげてはいけません。
ついでなのでもっとお葬式の話をすると
道教式のお葬式は
道士と呼ばれる男性が
数人出て来て踊ります。
踊るっていうのはちょっと違うかもしれないけど
どんちゃんピーピーと派手な音楽に合わせて
遺族も道士といっしょにぐるぐる回って歩きます。
道士は白い喪服ではなくて
黄色や青などの鮮やかな色の服を着ています。
テカテカ光沢のある生地の服です。
そして魂をあの世につれて行く儀式をするんだけど
紙に火をつけてそれを床において
ジャンプしてアチョーと刀で切って
「今あの世への門を開けた!」とか言って
ほんと派手なんですよ、これが。
私はそのパフォーマンスのすごさに感心してしまった。
思わず拍手しそうになってしまってあぶない、あぶない。
道士は音楽に合わせてぐるぐる歩き回って踊って
ずっと止まらないんです。
もちろん遺族は踊りません。歩いているだけ。
それにしてもあれぐらい派手で動きがあると
あまり悲しくなくていいかもしれないと思いました。
ほんとに。
とは言っても遺族はやっぱり悲しいけれど
エーンエン泣いているだけの悲しいお葬式じゃないから
景気がよくて私は好きです。
根っから明るくて勢いのある香港人にはあってる、あってる。
途中で紙で作った立派な橋なども出て来て
あの世へ渡りまーす!というシーンもあったりして
ストーリー性のある芸術的なパフォーマンスです。
故人があの世で困らないようにと
紙で作った大きな家やら洋服やらお金やらがあって
遺体を焼くときにいっしょにほうり込んで焼くそうです。
なんだかカラフルでいいなと思いました。
ということで、香港の街を歩くときは
間違っても白い花のついたカチューシャやブローチは
しないで下さいね。
してたら今からお葬式に行くのかなと思われるかも。
「縁起が悪いわ~」と嫌な目で見られるのは確実ですね。
ま、そこで日本語を話せば
あ、外国人か、と大目に見てもらえるでしょうけどね。
「ところ変われば葬式の花の色も変わる」ということですね。 🙂
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